ロータリ真空ポンプ
吸引側に取付けるフィルタは、濾過精度10μm※以下のものを推奨しています。
※通常の大気中に含まれるパーティクルを指しますので、10μm以下であっても粉塵レベルの高濃度なパーティクルを吸入した場合は不具合が発生する可能性があります。
●推奨品
(参考関連商品):真空用フィルタ【VFU】
塵などの異物の吸引は、動作不良の原因となりますので、吸引側には必ずフィルタを設置してください。
万一、異物を吸引しロータリ真空ポンプが停止してしまった場合などは、弊社で交換・またはメンテナンスを行いますので、お客様自身で無理に異物を取り除こうとしたり、製品を分解したりせず、担当営業所までご連絡をお願いします。
真空の発生源としては、一般的な方式として「真空ポンプ」と「真空発生器(エジェクタ)」に大別されます。
真空ポンプはモータで動くため圧縮エアが不要。一方、真空発生器は真空を作るのに圧縮エアを必要とします。
真空ポンプ
メリット:高真空が得られ、多量の真空源が必要な場合はランニングコストが安い。
容器から気体を吸い出すことで真空度を上げる装置です。
コンプレッサのように吸い込み口から入った気体を回転(または往復運動)により圧縮し、大気へ排出します。この過程の中で真空が作られます。到達真空圧力と実行排気速度に応じた種類があります。
真空発生器と比べると、装置が大きくなりイニシャルコストがかかります。一般的には、定期的なメンテナンスが必要です。※1
真空発生器(エジェクタ)
メリット:機械的な可動部がなく、小型。手軽に取付けられる。
ノズルで絞られて高速放出した圧縮エアが空気を引き込むことで真空を発生させる装置です。
自動組立機などの小型の装置を安価でコンパクトに製作できる半面、真空度と真空流量を得るためには、圧縮エアの使用量が大きくなる場合もあり、ランニングコストへの注意が必要です。
間欠的に使用する場合や、短時間使用する場合、真空を使用する個所が少ない所では、手軽に真空が得られるため便利です。※2
※1) ピスコが独自開発したロータリ真空ポンプは、使用条件・環境にもよりますが、約30,000時間メンテナンス不要で、ランニングコストが抑えられ、真空ポンプから出る騒音や発熱、発塵も抑えられる、環境にやさしい「省エネ対応品」です。
※2) ピスコの真空発生器は、小型で取付け場所が自由な単体タイプと、システム全体のコンパクト化、合理化ができる総合タイプ(真空発生用電磁弁、真空破壊用電磁弁、絞り弁、真空スイッチ(圧力センサ)、フィルタを一体化)があります。
ピスコのロータリ真空ポンプの最大の特長は、ポンプの動作原理です。
独自に開発した「ロータリ方式」を採用しており、ベーン方式、ダイヤフラム方式、揺動ピストン方式などと異なります。この動作原理により様々なメリットが得られ、省エネに大きく貢献します。
ロータリ方式とは
簡単に説明すると、特殊な形状のロータが偏心回転を繰返すことで、真空エアを作り出します。
動作原理は以下をクリック。
真空ポンプ動作原理図
さらに、ロータリ真空ポンプの構造には以下のような特長があります。
ロータとシリンダの間に、一定の微小クリアランスを設ける
これにより、基本的に非接触構造となり、摺動部が極小化されました。
ベーンポンプのように摩擦粉飛散が発生しません。
モータとポンプの回転力伝達部にマグネットカップリングを採用
回転軸のシール摺動がないため、シールによる発熱がなく、メンテナンスも不要です。
モータ軸部の芯ズレが極小化され、モータの長寿命化に貢献しています。
回転部のバランスへの配慮
回転部への徹底したバランス設計により、低運転音・低振動を実現しました。
上記は特長の一部ですが、現在、吸着搬送や真空包装などの用途をはじめ、様々なお客様からお問い合わせをいただいています。詳細はカタログをご覧ください。
モータが熱くなりサーマルプロテクタが作動したためと考えられますが、異臭・煙が発生していないかご確認ください。また、ポンプ本体が非常に熱くなっている可能性があるため、手で触れる際は火傷をしない様、十分注意してください。
本体が冷めましたら、サーマルプロテクタのスイッチを入れ※、再度通電し動作をご確認ください。
※) RPV064-120シリーズは自己復帰の回路のため、運転再開温度(86±20℃)まで下がると自動的に運転を再開します。
弊社で設定する仕様として、雰囲気(吸入気体)は、腐蝕性及び爆発性ガスのない雰囲気となります。
※) 製品仕様範囲外のガスはユーザーによる評価判断の上、採用判断をいただく必要があります。
なお、可燃性・爆発性のガスは絶対に吸引しないでください。また可燃性・爆発性のガスなど引火の可能性のある雰囲気では、絶対に使用しないでください。爆発・火災の原因になります。
※) 揮発したアルコール成分なども絶対に吸引しないでください。
弊社で設定する仕様として、雰囲気(吸入気体)は、腐蝕性及び爆発性ガスのない雰囲気となります。
特に高温の水蒸気を吸入する場合は、不具合が発生する場合がありますので、営業所にご相談ください。
装置内が密閉に近い状態になるような場合は、装置内温度が40℃以下となるよう配慮してください。なお、隣接する機器の発熱状況にもよりますが、目安としてポンプ周辺に5cm以上の隙間を確保してください。
あわせて、ポンプ設置・換気用の開口部の設定には、以下①~③をご配慮ください。
①ポンプ空冷エアの通風確保
モータと反対面の同心円状に配置された長穴が、ポンプ強制空冷における「空冷エア吸込み口」。
モータとポンプ間に設けられた多数のスリット(ファンの回転が見える)がポンプ強制空冷における「空冷エア吐出し口」となっています。(下図参照※)
強制空冷に関係する前述の「空冷エア吸込み口」、「空冷エア吐出し口」への通風を妨げない流路確保をお願いします。
②モータ冷却エアの通風確保
定格60W及び90Wのモータは、モータ自身の末端に冷却ファンを備えています。モータ末端の端面に、「モータ冷却用エア吸込み口」が形成されており、通風を妨げない流路確保をお願いします。
③ポンプ表面からの自然放熱
上記の冷却エアの通風以外にも、ポンプ表面やモータ表面からも放熱するため、放熱によって暖められたエアがポンプ周辺に滞留しないよう、通風スペースの確保や、別途設けたファンによる送風などの配慮をお願いします。
特注品を除き、ロータリ真空ポンプが取得している規格は以下となります。
非該当証明書の発行が可能ですので、最寄の営業所へお問い合わせください。
CEマーキング
対応(製品)
RoHS指令
対応品(製品)
CCC認証
認証品(モータ)
ULグレード
モータ(購入品):UL認定品
ロータ(樹脂部品):難燃グレード UL94 V-0
冷却ファン(樹脂部品):難燃グレード UL94 V-0
マグネットカップリングシールキャップ(樹脂部品):難燃グレード UL94 V-1
※) 規格などについては以下をご確認ください。
モータ自体のクリーンルーム対応品がございません。
したがって、モータにカバーを付けていただくなどの対応となりますので、一度営業所へご相談ください。
ロータリ真空ポンプ設置の周囲雰囲気は5~40℃です。
お客様独自で設置したカバーなどにより、周囲の空気が滞留し、ポンプ、モータともに発熱を起こすことがあります。ポンプ内部の異常な負荷増大に繋がる可能性がありますので、熱源の近接も含め、ポンプ設置周囲温度が40℃を上回らないよう注意してください。
周囲温度が高いと感じたら、ロータリ真空ポンプを一度停止してください。手で触れる際は火傷をしないよう、十分注意してください。本体が冷めカバー内の温度が下がったら、運転を再開してください。
排気クリーナについて、以下を参考にしてください。
使用条件
使用流体:排気圧縮空気
最大処理流量:0.6m3/min(ANR)
流体温度:5~65℃(凍結なきこと)
周囲温度:0~65℃(凍結なきこと)
性能
濾過度:1μm
消音効果:35dB以上(油飽和状態で最大処理流量の時)
有効断面積:33mm2
流量特性:下図による(代表値)
エレメント材質
アルミ合金、鋼、ガラス繊維
ロータリ真空ポンプの摺動部位には、基油の揮発性最小クラスのフッ素系グリース(基油:パーフルオロポリエーテル油、増ちょう剤:PTFE)を使用しています。
ロータリ真空ポンプのモータは、すべてサーマルプロテクタを内蔵した「インダクションモータ」です。
ACモータは大別して、「同期モータ」と「誘導(インダクション)モータ」の2種類があり、一般的に後者が代表となります。ロータがかご型構造になっており、時にかご型誘導モータと丁寧に表記されることもあります。
インダクションモータは、入力される交流電源の種類により単相モータと、三相モータに別けられます。見た目としては導線の数が違い、単相は2本、三相は3本です。
単相モータ
自力で回転できないため、回路にコンデンサを入れることで電流の流れを調整し、その交互の電流の流れでモータを回転させます。配線が少なく電圧が低いため、一般家庭では安全な単相モータが選ばれます。
三相モータ
スイッチを入れると、モータを回す交流磁界を発生させて自力で回転します。
回転が滑らかで高出力のため、工場などの業務用電力として主に使われています。
三相モータは、単相交流を3つ組み合わせ、ロータ1回転あたり120°ずつずれた三相交流でモータを回転させています。
仕様、環境条件に関する情報
電源電圧許容範囲:±10%(電源電圧変動許容範囲であり、常時使用可能な電圧レベルではありません。)
回転方向:CCW(反時計)回転
CEマーキング、UL、CCC対応品、REACH規制適合
※)
基本的な仕様はカタログをご覧ください。
また、【設置時の注意点】【サーマルプロテクタ】などについては別の記事をご覧ください。
サーマルプロテクタは、モータの過負荷による過熱、焼損などからモータを保護する装置です。
弊社のサーマルプロテクタは自動復帰タイプで、モータ発熱によりサーマルプロテクタが作動しモータが停止しても、モータが冷めてくれば再度自動で作動します。これを回避するため、サーマルプロテクタに自己保持回路(SW(スイッチ)、Ry(リレー))を入れています。安全確保のため、回路図の通りに接続してください。
サーマルプロテクタを使用しないことはメーカーとして推奨できません。サーマルプロテクタを使用しないと、モータへ過負荷などが発生した場合にモータの焼損・最悪は火事になる可能性があります。
なお、RPV064シリーズは自動復帰型のサーマルプロテクタをモータ巻線部に内蔵しています。そのため、サーマルプロテクタ動作後、モータ温度が下がると自動的に運転を再開します。予期しない再起動による危険を防止するため、ポンプご使用の際にはリレー及びスイッチを使用した自己保持回路にするなど、安全対策を取ってください。
定格電圧:AC250V 3A
作動温度
単相の場合:開(モータ停止)⇒130±5℃、閉(運転開始)⇒90±5℃
三相RPV064-120の場合:開(モータ停止)⇒130±5℃、閉(運転開始)⇒86±5℃
一部の部品は難燃グレードの材料を使用していますが、製品として認証は受けていません。
モータ(購入品)
UL認定品
ロータ(樹脂部品)
難燃グレード UL94 V-0
冷却ファン(樹脂部品)
難燃グレード UL94 V-0
マグネットカップリングシールキャップ(樹脂部品)
難燃グレード UL94 V-1
なお、上記以外の金属ではない構成部品として、Oリング、チェックパッキンなどのゴム部品(全て材質:フッ素ゴム)を使用していますが、難燃グレードなどの設定外となります。
※)モータの製造銘板にULマークが記載されていますが、ロータリ真空ポンプ製品としてのUL認証ではありませんのでご注意ください。
1台の装置にロータリ真空ポンプを複数取付け、さらに排気クリーナを使用する場合は、ポンプ1台につき排気クリーナ1個を基本としてください。
2台のポンプの排気を1個の排気クリーナにまとめてしまうと、排気ポート側が閉塞し背圧が高まります。背圧が高まれば本体への負荷が増大し、発熱する可能性があります。
配管時も、可能な範囲で排気ポート~排気クリーナ間の配管は太く・短くするようにしてください。また、集中排気をする場合は十分な配管径で、ポンプ排気ポート側の背圧上昇防止にご配慮ください。
下図のような配線を行えば制御可能です。
赤字・・・DC24Vエリア
青字・・・自己保持回路
サーマルプロテクタは極性を問いません。(有接点のリミットスイッチのようなものと考えてください。)
上図では、プラス極性をサーマルプロテクタに入力していますが、マイナス極性を印加しても問題ありません。
(ただし、リレーには極性がありますので注意してください。)
SWAを押すとモータが作動します。
温度上昇などによりサーマルプロテクタが作動すると次はリレーがそれを感知し作動し、モータが停止します。
SWBを押すと自己保持解除となり、再度SWAを押すとモータが作動します。
※) 本モータのサーマルプロテクタは自己復帰型のため、自己保持回路が無い場合、サーマルプロテクタが解除し温度が下がれば、モータは再作動を開始します。
圧力の表し方は2種類あり、「絶対圧」と「ゲージ圧」によるものがあります。
絶対圧
絶対真空の圧力を0基準にした圧力が「絶対圧力」です。
空気圧の流量計算などに使用されます。
単位の最後に「abs」がつきます(例:10 kPa abs)
ゲージ圧
計測場所、計測時の大気圧を圧力0として測った圧力が「ゲージ圧力」です。
大気圧を基準に、1cm2の面積にどれだけの圧力がかかっているかを表します。一般的な圧力計に使われる圧力です。大気圧より高いゲージ圧を「正圧」、低い圧力を「負圧」と呼びます。
トルは、SI単位であるパスカル(Pa)(ヘクトパスカル(hPa))が使用される前に、汎用的に使われていた圧力や真空度を表す単位です。(絶対真空は0Torr、標準大気は760Torrとなります)
トルは「水銀柱ミリメートル (mmHg)」 と同じ単位の別名でもあり、非SI単位ですが、現在も多くの分野で使用されています。
1Torr = 133.32Pa、
1気圧 = 1013hPa = 1.01325x105 Pa = 760Torr
※) パスカルは、天気予報で使われるヘクトパスカルの1/100。
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